世界のNAD(ネットワークアクセスデバイス;クルマやIoTにおいて機器をネットワークに接続するための装置)モジュールの出荷は2024年も増加を続けました。カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)は、乗用車においてコネクティビティが標準機能になりつつあることを背景に、2024年の出荷が前年比14%増加したとする調査結果を含むGlobal Cellular Automotive NAD Module & Chipset Trackerを発表しました。自動車においてコネクティビティのニーズが高まっていることについて、アソシエイトディレクターのGreg Basich氏は次のように述べています。
「QuectelとFibcom(Favalonブランドで事業)は、中国市場が30%を超える伸びをみせたのをうけて、大きく事業を伸ばしている。市場の成長はBYD、Geely、Chery、Nioなどの自動車メーカーからの引き合いが増えているからだ。一方で、国際的なブランドで、中国国外ではリーダー格であるRolling WirelessやLGはやや業績が落ちている。中国市場の外では、同じような勢いで市場が伸びていないからだ。」
最近の地政学的な状況によって、米国は、中国やロシアで開発されたソフトウェアを載せたクルマの販売を2027年モデルから制限し、2030年モデル(年式を持たない車種については2029年1月1日から)からはソフトウェアまたはハードウェアが中国やロシア製であれば販売が制限されます。これによって一部の中国のNADメーカーが影響を受けるでしょう。たとえば、Teslaはすでに対応の動きをみせており、かつては中国から調達していたNADを、自社製に切り替えています。
テレマティクス制御ユニット(TCU)の主要メーカーであるContinentalの成長は急速で、同社のTCU向けに、Qualcommのチップを搭載した4Gや5G対応NADモジュールを急ピッチで開発し、外部サプライヤーへの依存度を下げようとしています。中国の外では、新規参入のKontronも好業績です。KontronはTelit-Cinterionの自動車向け事業を2023年第4四半期に買収しました。
技術動向について、シニアアナリストのParv Sharma氏は次のように述べています。
「いまだに4Gが圧倒的で、2024年の市場でもほぼ90%を占めている。とはいえ、2030年までには5G(5Gと5G RedCap)が市場の90%を占めるようになるだろう。集中型の制御アーキテクチャ、デジタルコックピット、自動運転(ADAS L3+)が、5G化をドライブする。Qualcommは5G製品に競争力のある価格を設定し、NADチップセット市場のリーダーの座を維持するとみられる。だが、MediaTek(5G RedCapに注力)、HiSilocon、Samsung、UNISOCなども車載向け5Gに参入してくる。」
【カウンターポイントリサーチ社概要】
カウンターポイントリサーチ社(英文名Counterpoint Research HK)はTNT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化したグ
ローバルな調査会社です。主要なテクノロジー企業や金融系企業に、モバイル、車載、AIなどハイテク市場についての週次・月次・四半期毎に、市場データ、個別プロジェクト、詳細な分析レポートを提供しています。また、ハイテク業界で経験を積んだエキスパートが当社のアナリスト陣を構成しています。
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