世界のスマートウォッチ出荷は、2024年に対前年で7%減少しました。これはこの市場として初の縮小になります。この調査結果を含むGlobal Smartwatch Shipments Tracker by Model, Q4 2024を、カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー（英文名：Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社）が発表しました。市場の下落傾向はAppleの出荷が減少したことが主な要因です。ベーシックなスマートウォッチのセグメントで買い換えが進んでいないからです。ベーシックモデルの市場が弱含んでいるのは、インドが発信源といえます。インドで需要が下火になった背景には、買い替えサイクルが緩慢になったこと、目新しいイノベーションがないこと、初めて購入したユーザーにとって、ユーザー体験が満足なものでないこと、がありました。
Appleは、iOSユーザーベースの増加を背景に、世界市場での首位を維持しています。Samsungも前年比3%成長しました。新発売のGalaxy Watch 7、Galaxy Watch Ultra、Galaxy Watch FEシリーズが好評だからです。Xiaomiの参入は目覚ましい成功で、2024年に最も成長したメーカーになりました。初めてトップ5社にランクインしています。同社は全地域で事業が伸びており、製品ポートフォリオを広げたことと、Watch S1やRedmi Watchシリーズの好調が効きました。
出典：Counterpoint Research Global Smartwatch Shipments Tracker by Model, Q4 2024
Appleの業績について、シニアリサーチアナリストのAnshika Jain氏は次のように述べています。
「Apple Watchは、S10シリーズを発売したにもかかわらず、10周年の大事な年に売り上げを落とした。最大の要因は北米で、Ultra 3がまだ市場に出ておらず、S10の機能に目ぼしい進化がなかったことで、消費者の買い控えが起きてしまった。加えて、特許紛争（血中酸素濃度測定機能が特許侵害であるとしてAppleが訴えられた）によって年の前半の出荷が抑えられてしまった。既存のApple Watch SEシリーズの売上が落ちてきているのに、新しいSEモデルが出ないことも、業績低迷に拍車をかけた。」
Jain氏はさらに以下のように続けました。
「地域別でみると、2024年は中国向けの出荷が初めて一番多くなり、北米やインドを抜いた。Huawei、Imoo、Xiaomiが中国市場をリードしている。ベーシックモデルから高級機や子供向けスマートウォッチと商品の幅が広く、中国の消費者がこれらのブランドを好むこととあいまって、普及が進んだ。」
また、スマートウォッチのセグメント別の状況について、リサーチアナリストのBaldir Singh氏は次のようにコメントしています。
「子供向けスマートウォッチのセグメントだけが成長した。そこでは、値ごろで機能が豊富なウォッチを売っているImooが引き続き市場のリーダーだ。子供向けスマートウォッチのセグメントの需要が高いのは、子供の安全を親が気にかけており、どこにいるか把握し、常に子供と連絡が取れるようにしたい、と願うからだ。ベーシックモデルが低迷しているので、Noise、boAt、GoogleのFitbitなど他社は子供向けにもポートフォリオを広げ始めた。商品が多様化するのは良いことで、今度のさらなる成長につながるだろう。」
一方、世界のスマートウォッチ市場の見通しについては、アソシエイトディレクターのDavid Naranjo氏が、次のようにコメントしています。
「2025年のスマートウォッチ市場はゆるやかに回復し、一桁パーセントの成長になるだろう。AndroidもiOSもスマートウォッチにさらにAI機能と最先端のセンシング機能を搭載し、さらに詳細なヘルスデータを取得できるようになる。最先端のセンシングという面では、スマートウォッチに本格的な身体状態の監視機能が搭載される。例えば、心臓病につながる異常、心房細動、睡眠時無呼吸症候群、高血圧、糖尿病などだ。各社はスマートウォッチの新機種について医療機器として認可を受けることに力を入れており、新たに加わるヘルス機能によって市場でのポジションを維持しようとしている。」
【カウンターポイントリサーチ社概要】
カウンターポイントリサーチ社（英文名Counterpoint Research HK）はTNT（テクノロジー・メディア・通信）業界に特化したグ
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