世界のTWS(完全ワイヤレスイヤホン)市場は成熟期に突入、2028年まで緩やかな成長を維持へ
【ソウル、北京、ブエノスアイレス、フォートコリンズ、香港、ロンドン、ニューデリー、台北、東京 – 2025年7月2日】
カウンターポイント・リサーチの最新の「グローバルTWS市場予測」によると、世界のTWS市場は、成熟期に入りつつある中、2025年に前年比3%の販売台数増が見込まれています。今後も2028年まで緩やかではありますが、安定した成長を続けると予測されています。
主なポイント
・世界のTWS市場は、2025年に前年比3%の微増となる見通しです。
・50ドル以下のエントリーモデルが成長を牽引し、150ドル以上のプレミアムモデルの減少を補うと予想されます。
・Appleは新型Proモデルで競争優位を維持する一方、販売台数ベースでのシェアは若干の減少が見込まれます。
・XiaomiとJBLは2桁成長が期待されており、それぞれの強みを活かして市場での存在感を高めています。
市場概況:安定成長を支えるのはエントリーモデルと新興市場
TWS市場は、経済の不透明感や目立った技術革新の不足、製品寿命の延長といった要因から、成長ペースがやや鈍化しています。一方で、TWSデバイスはスマートフォン同様に生活必需品として定着しつつあり、買い替え需要によって一定の市場規模を維持しています。特に新興市場では、50ドル未満の低価格モデルに対する需要が根強く、全体として2028年まで緩やかながらも安定した成長を続けるとみられています。
ブランド別では、大手ブランドが差別化戦略とロイヤルティの高い顧客基盤によって、堅実な成長を維持しています。一方で、ロングテールの中小ブランドは、価格競争力こそあるものの、需要の変動によりパフォーマンスが不安定になる可能性があります。
Global TWS Market Sales Share of Top 5 Brands, 2024 vs 2025(E)
ブランド別の動向(2025年第1四半期)
【Apple】
Appleは、AirPods Proの新モデル投入によって市場を活性化させています。次世代モデルである「AirPods Pro 3」は、強化されたヘルスケア機能と没入型オーディオ体験を搭載し、既存ユーザーの買い替えを促進すると期待されています。ただし、高価格帯であることから、全体の出荷台数に対する影響は限定的と見られています。より大きな販売拡大は、標準モデルや新たなANC搭載モデルが登場する2027年頃に見込まれます。
【Xiaomi】
Xiaomiは、リーズナブルな価格設定と広範な流通網により、2025年第1四半期も好調な販売を記録しました。同社は、複数の製品カテゴリにおいてグローバルブランドとしての地位を確立しており、多様な地域展開と合わせて、TWS市場でも着実にシェアを拡大しています。
【boAt】
インド市場での価格競争が進む中、boAtは厳しい局面を迎えています。同社は初回ユーザーの獲得に成功している一方で、リピーターの多くは機能性の高い他社製品へと移行しています。AIオーディオやエコシステムとの統合に出遅れており、中国系ブランドとの競争でも苦戦が続いています。
【Samsung】
Samsungは、Galaxyエコシステム(スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ)を活用し、ユーザーの囲い込みと買い替え促進を進めています。AIを活用したノイズキャンセリングやリアルタイム翻訳、アンビエントサウンドなどの機能強化により、TWS製品を先進的なデバイスとして位置づけています。
【JBL】
JBLは、長年のオーディオ分野での経験を背景に、高品質な低音と幅広い価格帯の商品ラインアップで、幅広いユーザー層を取り込んでいます。2025年第1四半期には、特にプレミアム化が進みつつあるインド市場において、手頃な価格帯の製品を軸に大きな成長を遂げました。信頼性の高いブランドとしての認知と高音質ニーズの高まりが成長を支えています。
カウンターポイント・リサーチについて
カウンターポイント・リサーチは、テクノロジーエコシステム全体を対象とする製品を専門としたグローバルな市場調査会社です。
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